遂にその日が来た

今日は元顧問と飲み会だった。
近所に来るからって、おっさん達と飲むのに誘ってもらったのだ。
若造も居ると聞いたからウキウキ行ったさ。
残業して遅れて行って乾杯して、さぁ食べろと勧められ、楽しく飲んでいたら
「来月入籍します。」と若造が言う。
「またまた〜つまらない冗談だな」と誰かが言う。
「本当の話だよ。でもこいつ、まだ結婚してないのに既にマリッジブルーなんだよ。周りに鬱陶しがられるくらい。」と誰かが言った。
あぁ、ついにこの日が来たんだと思った。
最初から冗談だとは思わなかった。
そんな事を冗談で言える人じゃないと知っていたから。
色んな場面がフラッシュバックする。
あぁ、やっぱりあれは、すべてその布石だったんだと理解できた。
その一つ一つを目撃し、あれ?と思ったのは、全部当たりだったんだなと確認したようなものだった。
「え?がおさん聞いてなかったの。」
「初耳。何も聞いてない。○○さんも知っているのに、私には報告が無いなんて信じられない!」と冗談を言うのが精いっぱいだ。
でも、自分の勘に感謝したいくらい、冷静にその場に居られた。
元カノと復縁し、来年くらいに結婚しようかと考えていたら、今年入籍するのが運勢的に良いと彼女が言い出し、夏から急激に話が進みだし、自分の気持ちが付いて行かなかったみたいだ。
11月の三連休で引っ越しをし、先週彼女が来て、一緒に住みだしたらしい。
「楽しくてしょうがないだろう?」
「いや、一人が長かったから、他人がいつもいるのはちょっと…」
「バカなのか?!」みたいなやりとりがあった。
本当に終始暗い顔をしている若造。
何のポーズなんだ?本気なのか??
帰りに解散する時に
「若造!ガオさんの事ちゃんと送っていきなさいよ!」と野良元妻が言った。
笑顔で近づいて来た若造にパンチを入れる。
駅が違うから、二組に分かれる分岐点で、若造の尻を三発蹴り飛ばし
「おめでとう。」と握手した。
良くできたなと褒めてあげたい。
でも、本当に不思議と涙も出ない。
もう分かっていたことだし、何も生み出さないし始まらない事はねぇ。