嬉しい裏切り

「金曜日はお疲れ様でした。」と、新人ちゃんに声をかけられる。
「先に帰っちゃってごめんね。遅くなった?」
「日にち跨いじゃいました。」
「そう!お店変えたの?」
「いえ、そのままで。」
「へー、あそこにそんなに長く?盛り上がったんだね〜」
苦笑いしてました。
つまんなかったのかな?一緒に帰れば良かったのにねぇ。
若造とはなんとなくつまんない気持ちになって、話しかけないし目も合わせなかった午前中。
夕方「がおさん!」って、席で声をかけられちゃったよ。
「金曜日盛り上がったみたいじゃん。」
「普通でしょ?」
「遅くなったんでしょ?あの店のままで。」
「あぁ、あの店のままでしたけど、11時半くらい?」
「ふーん。で、合コンどうだった?」
「え?合コン?」
「土曜日合コンだったんじゃないの?」
「違いますよ。行ってない。土日は一言もしゃべりませんでしたよ。最近そういう事多くて…」
「うそ!そうなんだ?」
「スーパーに行っただけ。カレーとナスの肉みそ炒めを作っちゃいました。」
「えらーい!」
「スーパー無駄に一日2回も行っちゃったし。」
「え?二日で二回?」
「ううん、一日に2回。夜中にサッカー観ようと思って、酒が足りないな〜って思って買いに行っちゃった。で、サッカー3時に始まるのに、飲みだしたら始まる前に寝ちゃった。」
「うっそー!」
「ビデオに録ってたから朝観ました。」
「用意周到だね。」
なんか淋しくなっちゃうでしょ?
友達いないの?私が遊んであげるのに…
なんで友達にすらなれないんだろう?
はぁ…切ないなぁ。
夜、久々に残業していた若造。
「まだ終わらないんですか?」
「終わんない。永遠に終わらない気がする。珍しいね。こんな時間まで居るの。」
「提出資料を作ってたら遅くなっちゃいましたけど、月曜日だからこの辺で勘弁してやろうと思って。」
「それが良いね。」
あそこで私も終わるって言ったら、ご飯食べに行けたのかな?
それから1時間残業したから仕方ないけど。
全然終わってないし…
金曜日の飲み会で聞いた、「若造の会」「性病疑惑」「合コン疑惑」「Tさんにゴマ擦って気味悪い」「私と結婚しても良い」などなど…聞かなくて良い事、沢山聞いた気がして、なんかちょっと私の知っている彼と違って引いちゃったけど、こうして見るとやっぱり可愛い若造。
私の事気にしてくれてるんだよね?
もう良いよね。
その程度で十分だよ。
欲張りな私。これ以上何を望むの?
帰る時、思いっきり手を振って帰って行った若造。
気にしてくれてありがとうね。
淋しくなくなったよ。